SF 『スカイ・クロラ』森 博嗣 すべてを語ることのない静かな詩のような小説です。 翻訳された小説のような文体。 ちょっと奇抜で誇張された比喩。 主人公は葛藤を抱えた世を拗ねたような少年。 各章の冒頭に序文があって、それがサリンジャー... 2007年11月10日 十六夜亭
歴史・時代小説 『卵のふわふわ』宇江佐真理 宇江佐真理の『卵のふわふわ -八丁堀喰い物草子・江戸前でもなし-』です。タイトルに惹かれて手にとりました。読みきりの短編が集まって一編の長編を成すような小説です。各短編のタイトルをよくみると「秘伝... 2007年10月13日 十六夜亭
歴史・時代小説藤沢周平 『海鳴り』藤沢周平 藤沢周平の『海鳴り』です。 著者の作品は何冊も読んでいますが、彼の作品の中ではめずらしく暝い小説です。 主人公は老齢に指しかかった商人という市井の人です。 この主人公が引き起こす不倫の話を軸にした人情話のような恋愛小説です。 こうした、不義というか不倫の小説を読むにつけ思うのは「人の心に戸はたてられないなぁ」ということ... 2007年9月14日 十六夜亭
ミステリー 『破裂』久坂部羊 久坂部羊の『破裂』である。 いわゆる医療ミステリー。 文章も読みやすく、エンターテイメント性もあり読み応えは十分。 とはいえ、高齢化社会や医療裁判、尊厳死、医大のシステムといった多くの社会問題を読者に投げかける。 今の超高齢化といわれる日本の現実を思うとある意味、非常に示唆に富んだ、ちょっと怖い小説である。 映画監督で... 2007年9月5日 十六夜亭
小説森見登美彦青春小説 『太陽の塔』森見登美彦 森見登美彦の『太陽の塔』です。 パワフルでポップで疾走感のある文体。 文章もユニークだけど、どこか格調の高さを感じさせる。 初めて読む作家ですが、妙にそそられ、クセになりそうでなりそうです。 京都大学... 2007年7月13日 十六夜亭
小説傑作青春小説 『一瞬の風になれ』佐藤多佳子 佐藤多佳子の『一瞬の風になれ』です。第28回(2007年) 吉川英治文学新人賞受賞、第4回(2007年) 本屋大賞を受賞した傑作です。まったくもって、いい作品です。全3巻の長い小説ですが、一気読みです。... 2007年6月7日 十六夜亭
小説 『しゃべれどもしゃべれども』佐藤多佳子 久しぶりに「いー本」に出会った感じです。 軽ーい文章がスゥーッと頭に入ってきます。 若い落語家が主人公で、その日常と彼の周辺の人々との交わりを描いたものですが、すごく良い。 結構、泣かせるところもあり... 2007年5月30日 十六夜亭
ミステリー 『ナイトフォール』ネルソン・デミル ネルソン・デミルの『ナイトフォール』です。 翻訳は白石朗。 この作家、結構、お気に入りです。 まぁ、はずれる場合も時としてあるのですが…。 中でも、ジョン・コーリーという主人公が登場する一連のシリーズは、いつも一気に読んでしまう。 本作も期待にたがわずジェットコースターのような展開でページを手繰る手が止まらなかった。 ... 2006年9月21日 十六夜亭
ミステリーマイクル・クライトン 『恐怖の存在』マイクル・クライトン マイクル・クライトン『恐怖の存在』(上・下)早川書房を読む。 この本を読むと「はたして、地球は本当に温暖化に向かっているのだろうか」という疑問が普通にわいてくる。 地球温暖化や環境問題というのは、毎日... 2006年7月7日 十六夜亭
小説傑作 『サウスバウンド』奥田英朗 奥田英朗の『サウスバウンド』である。 さほど期待はしなかったのだが思わぬ収穫だった。 ところどころで、クスクスと笑ってしまう。 いや、ホントに「明るくて面白くて、元気をもらえる小説」である。 以前、直... 2006年5月21日 十六夜亭
小説時代小説池波正太郎 『剣客商売』池波正太郎 現在、池波正太郎の剣客商売シリーズの5巻目となる『剣客商売-白い鬼』を読み終わったばかりである。 すっかり、池波正太郎の『剣客商売』に魅入られてしまった。 時代小説の巨匠に、こういうのも失礼だが、読ん... 2006年3月5日 十六夜亭
小説 『レキオス』池上永一 「レキオス」池上永一(文芸春秋)を読む。 沖縄出身の小説家だけあって沖縄の空気やにおいをリアルに感じさせる作品である。 伝奇小説、あるいはSF小説としての素材がよいだけに一寸残念な展開のさせ方である。... 2006年3月1日 十六夜亭
歴史・時代小説 『信長の棺』加藤廣 織田信長の伝記『信長公記(しんちょうこうき)』の作者、太田牛一を主人公にした作品である。 牛一は織田信長に使えた実在の人物。 信長の死後、豊臣秀吉に使え 牛一が「信長の遺骸がどこに消えたか」というミス... 2006年1月29日 十六夜亭