いつもなら本屋さんは三日と空けず行くのだが、このところ忙しく二週間ぶりぐらいにいつも行く本屋さんに顔を出したら本作が平積みになって、北上次郎の推薦文の掲載された大きなPOPがディスプレイされている。どうしたんだ、この推しようは…。講談社や文芸春秋、新潮社とかならわからなくもないが、ハヤカワ文庫である。はっきりいって、こ...
小説の記事一覧
ジョン・グリシャムの『「グレート・ギャツビー」を追え』です。 翻訳は、村上春樹。 ジョン・グリシャムといえば司法の場を舞台とするリーガルサスペンスを数多くヒットさせたベストセラー作家。 村上春樹とグリシャムの組み合わせは、正直、意外でした。 村上氏がこういう、エンターテイメント作品を翻訳するイメージがなかったもので…。...
砂原浩太朗の『高瀬庄左衛門御留書(たかせしょうざえもんおとどめがき)』です。 読み始めから中盤まで行ったあたりで「これは、もう、完璧に藤沢周平の系譜を継ぐ時代小説」だなと。 頭に浮かんだのは『三屋清左衛門残日録』。 タイトルからして似ています。 おそらく、想像ですが作者は敢えて藤沢作品に寄せたのではないでしょうか。 読...
アンディ・ウィアーの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』である。 翻訳は小野田和子。 以前からAMAZON等で評判になっているのを知り、いつか読んでみたいと思っていた。 しかし、仕事のあるウィークディはその気になれず、お盆休み前に地元の図書館にいったところ運よく本作が置いてあり、この休み中に読み終えることができた。 正直...
2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの受賞後、第一作『クララとお日さま』です。 正直、なんか、もやもやした感じで読み終えました。 というのも、物語を構成する世界や登場人物の状況、背景が明示的に描かれていません。 おそらく作者は意図してそうしたのでしょう。 そんなわけで、読者にゆだねられるものが多い小説で...
逢坂冬馬の『同志少女よ、敵を撃て』です。 ロシアのウクライナ侵攻のせいで、図らずも、なんともタイムリーな作品となってしまいましたが、評判の高さにつられて読んでみました。 まず、日本人作家が日本人が一人も登場しない第二次世界大戦の独ソ戦をテーマに取り上げたというのは驚きです。 深緑野分という作家の『戦場のコックたち』を読...
ジョージ・オーウェルの『一九八四年』を読んでみました 翻訳は高橋和久の新装版。 ディストピア小説のマスターピースとして知られる作品ですが、初めて手にしたのは高校生の頃だったような記憶があります。 確か、当時は純粋なSFとして手に取りました。 以来、何度かトライしたのですが、どうにも、つまらない。 そんなわけで、途中で挫...
佐藤究の『テスカトリポカ』です。 第165回直木賞、第34回山本周五郎賞を受賞。 直木賞の選考では暴力シーンが残虐で賞にそぐわないとの激論があったとか。 小生はドン・ウィンズロウの『犬の力』シリーズで麻薬カルテルの暴力的なシーンには免疫ができていたので、さほど、ショックは受けなかった。 それでも作中に登場した「粉」とい...
須賀しのぶの『革命前夜』です。 当初は、恩田陸の『蜜蜂と遠雷』のような音楽だけが軸になる物語かと思ったのですが…。 違いました。 読み進めていくうちに音楽が大切な要素ではあるが、決してメインテーマになっているわけではないなと。 どちらかといえば、この物語の中心にあるのは壁の崩壊直前という特異な状況の東ドイツでの歴史に翻...
佐藤究(きわむ)の『Ank: a mirroring ape(アンク: ア・ミラーリング・エイプ)』です。 やー、スゴイ。 なんか、今どきといった感じの小説ですね。 最初は今どきのSF小説特有のとっつきにくさを感じた。 わかる人だけわかってくれればイイ的な。 また、物語を構成するセクションが細かく、各セクションの時間軸...