
小説の記事一覧


奥田英朗の『向田理髪店』です。 久しぶりに読む奥田英朗の作品。 彼の小説は読めば面白いのは、わかっている。 はずれることは、あまりない。 本作も、そうした期待を裏切ることない連作短編集だった。 雰囲気的には『家日和』や『我が家のヒミツ』あたりと同じ流れを汲む作品ともいえる。 まぁ、奥田作品の中では佳作といったところでし...

原尞(りょう)の『それまでの明日』である。 14年ぶりの新刊だという。 書店で本書を見たときには「おやおや、原尞が新刊を出したんだ!」と。 懐かしいと同時に、あの文体がまた読めるのかと、つい衝動買いしてしまった。 自宅に帰り、さっそく読み始めたが…。 最初の数ページを読み「おいおい、今どきスマホどころか携帯電話すら持た...

藤沢周平の『よろずや平四郎活人剣』です。 十数年前に読んで以来、本作を読むのは二度目。 ずーっと、また読みたいなぁと思っていた。 連作の短編集で結構、長い作品だが今回も面白く読むことができた。 娯楽時代劇という言葉がこれほどピッタリな小説はないのではなかろうか。 まず、詩情がありユーモアがある。 そしてラブストーリーも...

万城目学の『悟浄出立』である。 久しぶりに読む万城目学の小説。 『鴨川ホルモー』や『偉大なる、しゅららぼん』といった長編の摩訶不思議な面白青春小説は読んだことはあるが、そうした系統でない、しかも短編の小説は初めて読んだ。 なんか、作者の底力を見せられた感じ。 当初は短編集だとは思わず最初の「悟浄出立」の一篇を読み終え、...

宮下奈都の『羊と鋼の森』である。 なるほど、タイトルの『羊と鋼の森』とは、ずばりピアノのことだったのですね。 ピアノという楽器は、本書でも説明されている通り、鍵盤を押すとボディーの中に張られた鋼鉄製の弦(ピアノ線)をハンマーが叩いて音を出すという構造になっている。 つまりは羊はハンマーに張られたフェルト。 鋼は、ハンマ...

車谷長吉の『赤目四十八瀧心中未遂』である。 口当たりのよいものばかりが好まれる時代だが、本作は時代におもねることのない、なんともパンキッシュな小説だ。 我が家の朝食は、いつもNHKラジオの朝の番組が流れているのだが、その中でパーソナリティの高橋源一郎が昔、車谷長吉の人生相談が面白いと紹介していたのが気になり、どんな小説...

ジェフリー・ディーヴァーの『限界点』である。 翻訳は土屋晃。 原題は『EDGE(エッジ)』。 “EDGE”を辞書で引くと「〔競技などで〕小差[僅差]で勝つ、接戦をものにする」という意味も載っている。 そうした意味ではタイトル通りの内容である。 アメリカには証人保護プログラムという制度がある。 重大事件の関係者や犯罪の司...

沢木耕太郎の『波の音が消えるまで』である。 なんというか、じつに男に都合のよい小説である。 という訳で、男の自分としては、ある種のヒリヒリするような憧れをもって読み終えた。 作者の沢木耕太郎は、自分が学生の頃、ライターを目指そうとしていた人たちにとってカリスマだった。 自分の周りにも、そうした先輩がいたが酒を飲みながら...
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