SF翻訳 『三体』劉慈欣(リウ・ツーシン) 劉慈欣(りゅう・じきん/リウ・ツーシン)の『三体』です。 翻訳は大森望、光吉さくら、ワン チャイ。 そして、監修が立原透耶。 翻訳者3人、ほかに監修がいるってすごいね! 今年の夏ぐらいから話題になっていて、こりゃあ、読んでみた方がイイかなと思って手に取ってみたわけです。 作者の劉慈欣は1963年生まれの中国のSF作家。... 2019年11月24日 十六夜亭
小説吉田修一 『続 横道世之介』吉田修一 吉田修一の『続 横道世之介』です。 “続”というからには、当然、前作がある。 前作を読んだのはもう、10年近くも前。 その時の印象は「いい小説だったなぁ」と、未だ鮮烈なものとして自分の記憶には残っている。 2001年に山手線の新大久保駅でホームから落ちた男性を助けようとして日本人カメラマンと韓国人留学生の三人が亡くなる... 2019年10月13日 十六夜亭
小説 『K2 復活のソロ』笹本稜平 笹本稜平の『K2 復活のソロ』です。 最近では作者の笹本稜平は山岳小説の第一人者といった感がありますね。 そんなわけで、山岳小説好きの自分は、つい、彼の小説は手に取ってしまいます。 山登りのエキスパートたちは本作を読んで、どんな感想を持つのか知りたいところですが、里山専門の自分は、結構、面白く読むことができました。 タ... 2019年9月22日 十六夜亭
ミステリー傑作翻訳 『古書の来歴』ジェラルディン・ブルックス ジェラルディン・ブルックスの『古書の来歴』です。 翻訳は森嶋マリ。 「いくつになっても、知らない世界を見たり聞いたりして新しい知識を得るというのはうれしいものだ」と思わせるような、そんな知的な興奮が沸き立つ小説である。 最初の数ページを読んで、これはアタリだと感じた。 本書は「サラエボハガター」といわれる、実在する14... 2019年8月12日 十六夜亭
小説ファンタジー 『鹿の王 水底の橋』上橋菜穂子 上橋菜穂子の『鹿の王 水底の橋』である。 前作の『鹿の王』は先月、読んだばかりだった。 そうしたこともあり、続編の本作がこの4月に出たことを知り「読みたいなぁ」と…。 そんな風に思っていたところ、いつも行く図書館で偶然、目に入ったので速攻で借りる。 本作では前作で主人公を演じた戦士のヴァンは登場しない。 主人公は前作で... 2019年7月11日 十六夜亭
小説 『夢見る帝国図書館』中島京子 中島京子の『夢見る帝国図書館』である。 本読みといわれる種族にとっては、なんとも愛おしい小説だ。 中心に据えられているのは東京の上野に日本で最初に造られた国立図書館である帝国図書館。 昔は通称「上野図書館」と呼ばれていたが、現在は「国立国会図書館国際子ども図書館」と名前を変え児童書専門の図書館になっている。 物語は主人... 2019年6月30日 十六夜亭
小説ファンタジー 『鹿の王』上橋菜穂子 上橋菜穂子の『鹿の王』である。 読みごたえもあるし、面白かった。 読んで、間違いのない作家たちがいる。 いってみれば「読めば、必ず面白い」ことが分かっている作家たちである。 自分にとっては上橋菜穂子は間違いなく「読めば、必ず面白い」作家たちの一人である。 彼女の作品はややもすると児童向けの作品だと思われ、敬遠してしまう... 2019年6月8日 十六夜亭
小説森見登美彦 『熱帯』森見登美彦 森見登美彦の『熱帯』です。 いやー、これは、なんというか、どう言っていいものか…。 そんな風にしかいえない壮大な怪作(著者自身も本の帯に書いていた)であり、本や読書を愛する種族にとっては類まれにみる傑作ではないかとも思う。 とはいえ、誰にでも推せる作品ではないし、よくわかんないという人や、イマイチ推せないという読者がい... 2019年5月25日 十六夜亭
歴史・時代小説 『童の神』今村翔吾 今村翔吾の『童の神』です。 簡単にいうなら酒呑童子の伝説を再構築した歴史小説的な伝奇時代小説。 著書のプロフィールを見ると34歳とまだ若いのに、文章や構成がしっかりしていて感心しました。 テーマも興味深いし、なかなか読ませます。 平安時代、安和(あんな)の変(962年)という右大臣、藤原師尹(ふじわらのもろただ)の謀略... 2019年5月2日 十六夜亭
ミステリー吉田修一 『太陽は動かない』吉田修一 吉田修一の『太陽は動かない』です。 吉田修一といえば、『パークライフ』や『横道世之介』、『悪人』といった人物模写に重点を置いた柔らかな作風の作家というイメージで、こうしたビジネス小説とも読めるミステリーといったジャンルに踏み込むとは思いもよりませんでした。 本書の帯にはスパイ大作戦とあるが、まさに映画「ミッションインポ... 2019年4月30日 十六夜亭
小説 『落日燃ゆ』城山三郎 城山三郎の『落日燃ゆ』です。 発行されたのは1974年。 太平洋戦争終結後、軍人以外の文官で唯一、A級戦犯として死刑となった政治家、広田弘毅の生涯を描いた伝記小説。 実を言えば、この小説を読むまで広田弘毅(ひろたこうき)の名前は意識したことはありませんでした。 全体に、冷静な文章で淡々と描かれた小説です。 広田弘毅は明... 2019年4月20日 十六夜亭
ミステリー 『盤上の向日葵』柚月裕子 柚月裕子の『盤上の向日葵(ひまわり)』です。 昨今の将棋ブームを予言するかのように描かれた将棋をモチーフとしたミステリー。 読みごたえがありました。 平成6年の夏、白骨化した遺体が埼玉の大宮市郊外の小高い山中から発見される。 遺体の側からは初代菊水月という駒師が作ったとされる将棋駒の名品が見つかる。 なぜ遺体の傍らに最... 2019年4月1日 十六夜亭
小説 『武曲』藤沢周 藤沢周の『武曲(むこく)』です。 タイトルからして読めませんでした。 ページを開き、最初から緊張感を持つ一つひとつの語句が疾走するような文章で、これは骨のある小説だなと。 “守破離”、“非有非空”、“斬心明鏡”、“滴水凍水”といった「偈(げ)」といわれる耳なじみの薄い漢詩の一節のような禅の言辞が多用され、そのことに惑わ... 2019年3月22日 十六夜亭