ジョン・グリシャムの『「グレート・ギャツビー」を追え』です。 翻訳は、村上春樹。 ジョン・グリシャムといえば司法の場を舞台とするリーガルサスペンスを数多くヒットさせたベストセラー作家。 村上春樹とグリシャムの組み合わせは、正直、意外でした。 村上氏がこういう、エンターテイメント作品を翻訳するイメージがなかったもので…。...
ミステリーの記事一覧
佐藤究の『テスカトリポカ』です。 第165回直木賞、第34回山本周五郎賞を受賞。 直木賞の選考では暴力シーンが残虐で賞にそぐわないとの激論があったとか。 小生はドン・ウィンズロウの『犬の力』シリーズで麻薬カルテルの暴力的なシーンには免疫ができていたので、さほど、ショックは受けなかった。 それでも作中に登場した「粉」とい...
ディーリア・オーエンズの『ザリガニの鳴くところ』です。 翻訳は友廣純。 読み始めは、鬱々とした暗い話かなと感じた。 主人公の少女、カイアの境遇がどうにも救われない。 この調子で、ずっと続いたら、たまらんなと思いながら読み進めるとボーイフレンドのテイトが登場したあたりから、感じがかわってきた。 視界が開けてきたとでもいう...
ドン・ウィンズロウの『ダ・フォース』である。 翻訳は、『ザ・ボーダー』と同じ田口俊樹。 ウィンズロウには『犬の力』、『ザ・カルテル』、『ザ・ボーダー』という壮大な三部作の傑作があるが、本作もそれに負けず劣らぬ傑作である。 本作で描かれているのはニューヨークという街であり、ニューヨーク市警の警官の生活であり、一人の刑事の...
ジョン・グリシャムの『テスタメント』です。 翻訳は安定の白石朗。 ミステリー好きには「いまさらグリシャムですか」という感じですが、ずっと積読になっていたものを、たまたま手に取ってパラパラめくっていたら止められなくなってしましました。 ジョン・グリシャムといえば、リーガルスリラーの大家。 1990年代には『評決の時』や『...
ドン・ウィンズウロウの『ザ・ボーダー』です。 翻訳は田口俊樹。 なんか、もう「スゴイ」としかいいようがない。 クライムノベルの枠を超えた壮大な人間ドラマに仕上がっている。 読み終えて、やはり、ドン・ウィンズウロウは現在のミステリーの最高峰だと再認識。 『犬の力』、『ザ・カルテル』の続編 本書は主人公である麻薬捜査官のア...
奥田英朗の『オリンピックの身代金』です。 2009年の第43回吉川英治文学賞を受賞した社会派ミステリー。 2段組みで500ページを超えるという大作。 本作の前に読み終えたのが、奥田英朗の『罪の轍』。 『罪の轍』を読み終えて、これは傑作だと感激してるうちに、以前購入した『オリンピックの身代金』がどっかに積読になってるはず...
ジェラルディン・ブルックスの『古書の来歴』です。 翻訳は森嶋マリ。 「いくつになっても、知らない世界を見たり聞いたりして新しい知識を得るというのはうれしいものだ」と思わせるような、そんな知的な興奮が沸き立つ小説である。 最初の数ページを読んで、これはアタリだと感じた。 本書は「サラエボハガター」といわれる、実在する14...
吉田修一の『太陽は動かない』です。 吉田修一といえば、『パークライフ』や『横道世之介』、『悪人』といった人物模写に重点を置いた柔らかな作風の作家というイメージで、こうしたビジネス小説とも読めるミステリーといったジャンルに踏み込むとは思いもよりませんでした。 本書の帯にはスパイ大作戦とあるが、まさに映画「ミッションインポ...
柚月裕子の『盤上の向日葵(ひまわり)』です。 昨今の将棋ブームを予言するかのように描かれた将棋をモチーフとしたミステリー。 読みごたえがありました。 平成6年の夏、白骨化した遺体が埼玉の大宮市郊外の小高い山中から発見される。 遺体の側からは初代菊水月という駒師が作ったとされる将棋駒の名品が見つかる。 なぜ遺体の傍らに最...