藤沢周平の傑作、『用心棒日月抄』である。 お盆の休日、本当は違う小説を読んでいたのだが、目に留まった本書をパラパラ捲っていたらやめられなくなってしまった。 数年ぶりではあるが、これで、三度目の再読である。 案の定、こうなることは分かっていた。 自分にとっては池波正太郎の『剣客商売』に並ぶかっぱえびせん本である。 主人公...
傑作の記事一覧
ドン・ウィンズロウの『ダ・フォース』である。 翻訳は、『ザ・ボーダー』と同じ田口俊樹。 ウィンズロウには『犬の力』、『ザ・カルテル』、『ザ・ボーダー』という壮大な三部作の傑作があるが、本作もそれに負けず劣らぬ傑作である。 本作で描かれているのはニューヨークという街であり、ニューヨーク市警の警官の生活であり、一人の刑事の...
ドン・ウィンズウロウの『ザ・ボーダー』です。 翻訳は田口俊樹。 なんか、もう「スゴイ」としかいいようがない。 クライムノベルの枠を超えた壮大な人間ドラマに仕上がっている。 読み終えて、やはり、ドン・ウィンズウロウは現在のミステリーの最高峰だと再認識。 『犬の力』、『ザ・カルテル』の続編 本書は主人公である麻薬捜査官のア...
山本周五郎の『樅ノ木(もみのき)は残った』です。 この年齢になるまで、本作を読んでいなかったというのは不覚でした。 こんな、すごい小説を見逃していたのかと…。 微に入り細を穿つような人物模写。 一編の小説ではあるが、伊達藩の殿様、藩士から浪人、山中に住む猟師、そして、様々な階層の女たちが登場して一つのストーリーを軸とし...
ジェラルディン・ブルックスの『古書の来歴』です。 翻訳は森嶋マリ。 「いくつになっても、知らない世界を見たり聞いたりして新しい知識を得るというのはうれしいものだ」と思わせるような、そんな知的な興奮が沸き立つ小説である。 最初の数ページを読んで、これはアタリだと感じた。 本書は「サラエボハガター」といわれる、実在する14...
モリミーといわれる森見登美彦の『ペンギン・ハイウェイ』です。2010年の「日本SF大賞」受賞作。とはいえ、本作をSFといってしまうのはどうなのか、ちょと迷うところ。どちらかといえば、ファンタジーではないのか...
シャンタラム - 人生を変える一冊に値する グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツの『シャンタラム』である。 翻訳は田口俊樹。 今年、読んだベストワンかもしれない。 いやいや、今年読んだどころか、これまでの人生の中で読んだ本のなかでも屈指の傑作である。 まったく、たいした小説があったものである。 少々、お金はかかるが、一読...
最近、いいなと思う作家の一人が中島京子です。 日常の何気ないことを、過不足のない文章でさらりと描いているのですが職人的なうまさを感じます。 物語の舞台は戦前から戦後にかけての東京の山の手にあるお洒落な...
ドン・ウィンズロウの『犬の力』である。 2010年の『このミステリーがすごい!』海外編の1位となった骨太のミステリー。 「ミステリーの賞もとってるし、一応、読んどいたほうがイイかな」という軽い気分で手に取っ...
藤谷治の『船に乗れ!』です。 全3巻と結構なボリュームですが、引き込まれるように読み終えてしまった。 そして「クラシックをやる高校生というのはなかなか小生意気な生き物なのですなぁ」と、その昔、凡庸な高校時代を送ったオジサンは思うのでした…。 天真爛漫な青春小説と思ったけど、1、2巻を読み終え、まさか、こんなへヴィーな展...
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