歴史・時代小説 『高瀬庄左衛門御留書』砂原浩太朗 砂原浩太朗の『高瀬庄左衛門御留書(たかせしょうざえもんおとどめがき)』です。 読み始めから中盤まで行ったあたりで「これは、もう、完璧に藤沢周平の系譜を継ぐ時代小説」だなと。 頭に浮かんだのは『三屋清左衛門残日録』。 タイトルからして似ています。 おそらく、想像ですが作者は敢えて藤沢作品に寄せたのではないでしょうか。 読... 2022年8月28日 十六夜亭
歴史・時代小説直木賞 『黒牢城』米澤穂信 米澤穂信(ほのぶ)の『黒牢城(こくろうじょう)』です。 2022年の第166回直木賞、第12回山田風太郎賞を受賞。 他にも、『ミステリが読みたい!』、『週刊文春ミステリーベスト10』、『このミステリーがすごい!』、『2022本格ミステリ・ベスト10』の国内部門で1位に選ばれたという、輝かしい作品です。 作者の米澤穂信と... 2022年2月23日 十六夜亭
歴史・時代小説傑作藤沢周平 『用心棒日月抄』藤沢周平 藤沢周平の傑作、『用心棒日月抄』である。 お盆の休日、本当は違う小説を読んでいたのだが、目に留まった本書をパラパラ捲っていたらやめられなくなってしまった。 数年ぶりではあるが、これで、三度目の再読である。 案の定、こうなることは分かっていた。 自分にとっては池波正太郎の『剣客商売』に並ぶかっぱえびせん本である。 主人公... 2021年8月15日 十六夜亭
歴史・時代小説 『雄気堂々』城山三郎 城山三郎の『雄気堂々』です。 今年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公、渋沢栄一を描いた歴史小説。 令和6年に発行予定の新一万円札の肖像にも選ばれた実業家です。 渋沢栄一の名前を初めて知ったのは、三十年ぐらい前に読んだ荒俣宏の『帝都物語』だったと思います。 確か関東大震災後の帝都、東京を設計し復興させた人物として登... 2021年3月8日 十六夜亭
歴史・時代小説飯嶋和一 『黄金旅風』飯嶋和一 だいぶ昔に読んだ作品だが、飯嶋和一の『黄金旅風』である。 図書館で借りて読んだ本を、改めて購入した本というのは、それほど多くないのだが本作は「この本はちゃんと買って、持っていた方がいいな」と思い、改めて本屋さんで購入した。 そのぐらい、本作を読み終えたときは「いい小説だな」と思った。 以来、信者とまではいかないが飯島和... 2020年9月26日 十六夜亭
歴史・時代小説 『親鸞』五木寛之 五木寛之の『親鸞』です。 著者のエッセーや小説は自分が高校生の頃、随分、読み漁りました。 当時は、ちょっとした五木寛之ブームみたいなものもあったと思います。 映画にもなった『戒厳令の夜』は、今、思い返しても傑作でした。 著者の作品を最後に読んだのは、いつ頃だったろう。 そのぐらい久しぶりに読む、五木寛之作品。 親鸞は鎌... 2020年6月10日 十六夜亭
歴史・時代小説傑作 『樅ノ木は残った』山本周五郎 山本周五郎の『樅ノ木(もみのき)は残った』です。 この年齢になるまで、本作を読んでいなかったというのは不覚でした。 こんな、すごい小説を見逃していたのかと…。 微に入り細を穿つような人物模写。 一編の小説ではあるが、伊達藩の殿様、藩士から浪人、山中に住む猟師、そして、様々な階層の女たちが登場して一つのストーリーを軸とし... 2019年12月9日 十六夜亭
歴史・時代小説 『童の神』今村翔吾 今村翔吾の『童の神』です。 簡単にいうなら酒呑童子の伝説を再構築した歴史小説的な伝奇時代小説。 著書のプロフィールを見ると34歳とまだ若いのに、文章や構成がしっかりしていて感心しました。 テーマも興味深いし、なかなか読ませます。 平安時代、安和(あんな)の変(962年)という右大臣、藤原師尹(ふじわらのもろただ)の謀略... 2019年5月2日 十六夜亭
歴史・時代小説藤沢周平 『よろずや平四郎活人剣』藤沢周平 藤沢周平の『よろずや平四郎活人剣』です。 十数年前に読んで以来、本作を読むのは二度目。 ずーっと、また読みたいなぁと思っていた。 連作の短編集で結構、長い作品だが今回も面白く読むことができた。 娯楽時代劇という言葉がこれほどピッタリな小説はないのではなかろうか。 まず、詩情がありユーモアがある。 そしてラブストーリーも... 2019年1月14日 十六夜亭
歴史・時代小説万城目学 『悟浄出立』万城目学 万城目学の『悟浄出立』である。 久しぶりに読む万城目学の小説。 『鴨川ホルモー』や『偉大なる、しゅららぼん』といった長編の摩訶不思議な面白青春小説は読んだことはあるが、そうした系統でない、しかも短編の小説は初めて読んだ。 なんか、作者の底力を見せられた感じ。 当初は短編集だとは思わず最初の「悟浄出立」の一篇を読み終え、... 2018年10月20日 十六夜亭
歴史・時代小説 『侍』遠藤周作 遠藤周作の『侍』である。 野間文芸賞受賞作。 何とも、鬱々とした小説である。 先日、マーチン・スコセッシが監督した『沈黙』という遠藤周作が原作の映画を観た。 禁教令が敷かれた当時のキリシタンや宣教師の過酷な人生を描いたもので、奉行を演じたイッセー尾形がいい味を出していた。 そんなこともあり「そういえば、遠藤周作のちゃん... 2018年6月2日 十六夜亭
歴史・時代小説 『遺訓』佐藤賢一 佐藤賢一の『遺訓』である。 著者によって2010年に書かれた『新微組』という幕末の庄内藩を描いた小説の続編ともいえる作品。 タイトルを見れば、いやでも『南洲翁遺訓』という、明治時代に元庄内藩士が西郷隆盛の言葉や教えをまとめた書物が思い浮かぶ。 なぜ、戊辰戦争では幕府側であり敗者だった庄内藩の侍たちが、敵の領袖である西郷... 2018年5月20日 十六夜亭
歴史・時代小説 『さむらい道』高橋義夫 高橋義夫の『さむらい道』である。『さむらい道』と書いて「さむらいみち」と読ませる。本作は戦国時代から江戸時代初期まで、主に山形県の村山地方を治めた(後に庄内など日本海側も領地となる)出羽山形藩の初代藩主、最上義光の生涯を描いた歴史小説である... 2018年4月15日 十六夜亭