ミステリー本屋大賞 『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ ディーリア・オーエンズの『ザリガニの鳴くところ』です。 翻訳は友廣純。 読み始めは、鬱々とした暗い話かなと感じた。 主人公の少女、カイアの境遇がどうにも救われない。 この調子で、ずっと続いたら、たまらんなと思いながら読み進めるとボーイフレンドのテイトが登場したあたりから、感じがかわってきた。 視界が開けてきたとでもいう... 2021年7月4日 十六夜亭
SF 『旅のラゴス』筒井康隆 筒井康隆の『旅のラゴス』です。 「本読みが選ぶ…」といったような、どこかの書評サイトで評価が高かったので手に取ってみました。 読み終えて「いい小説だなぁ」と思った一方で、なんか、つかみどころがないなぁと。 何ともいえない浮遊感のある不思議な小説です。 展開は、まるでロールプレイングゲームのよう。 だけど、ラストまで読め... 2021年6月13日 十六夜亭
ミステリー傑作ドン・ウィンズロウ 『ダ・フォース』ドン・ウィンズロウ ドン・ウィンズロウの『ダ・フォース』である。 翻訳は、『ザ・ボーダー』と同じ田口俊樹。 ウィンズロウには『犬の力』、『ザ・カルテル』、『ザ・ボーダー』という壮大な三部作の傑作があるが、本作もそれに負けず劣らぬ傑作である。 本作で描かれているのはニューヨークという街であり、ニューヨーク市警の警官の生活であり、一人の刑事の... 2021年5月3日 十六夜亭
小説浅田次郎 『終わらざる夏』浅田次郎 浅田次郎の『終わらざる夏』です。 いやー、読ませます。 さすが、浅田次郎といった感じ。 舞台となったのはエトロフのさらに北、千島列島の最北端にある占守島(しゅむしゅとう)。 本作を読んで初めて、その存在を知りました。 先の敗戦までは、こんな北の果てまで日本の領土だったのですねぇー。 昭和20年6月、大本営の編制科動員班... 2021年4月25日 十六夜亭
ミステリー翻訳 『テスタメント』ジョン・グリシャム ジョン・グリシャムの『テスタメント』です。 翻訳は安定の白石朗。 ミステリー好きには「いまさらグリシャムですか」という感じですが、ずっと積読になっていたものを、たまたま手に取ってパラパラめくっていたら止められなくなってしましました。 ジョン・グリシャムといえば、リーガルスリラーの大家。 1990年代には『評決の時』や『... 2021年4月10日 十六夜亭
歴史・時代小説 『雄気堂々』城山三郎 城山三郎の『雄気堂々』です。 今年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公、渋沢栄一を描いた歴史小説。 令和6年に発行予定の新一万円札の肖像にも選ばれた実業家です。 渋沢栄一の名前を初めて知ったのは、三十年ぐらい前に読んだ荒俣宏の『帝都物語』だったと思います。 確か関東大震災後の帝都、東京を設計し復興させた人物として登... 2021年3月8日 十六夜亭
小説 『ゴールデン街コーリング』馳星周 馳星周(はせ せいしゅう)の『ゴールデン街コーリング』です。 作者の自伝的といってもいい、ちょっと緩めの青春小説。 まぁ、個性的な人達や街に揉まれて逞しくなっていく主人公の数年間を描いたほろ苦い物語といったところでしょうか。 サイドストーリーを盛り込みすぎて本筋の印象が薄くなってしまったのが残念。 いったい、どのぐらい... 2020年12月6日 十六夜亭
SF 『金色機械』恒川光太郎 恒川光太郎(つねかわこうたろう)の『金色機械』です。 初めて読む作家の小説です。 図書館で『金色機械』という、摩訶不思議なタイトルが目にとまり、パラパラめくってみたら時代小説のような内容だったので、“機械と時代小説”というギャップにひかれ借りてみました。 アイディアが秀逸で、なかなか、面白かったです。 時間軸が過去へさ... 2020年11月3日 十六夜亭
歴史・時代小説飯嶋和一 『黄金旅風』飯嶋和一 だいぶ昔に読んだ作品だが、飯嶋和一の『黄金旅風』である。 図書館で借りて読んだ本を、改めて購入した本というのは、それほど多くないのだが本作は「この本はちゃんと買って、持っていた方がいいな」と思い、改めて本屋さんで購入した。 そのぐらい、本作を読み終えたときは「いい小説だな」と思った。 以来、信者とまではいかないが飯島和... 2020年9月26日 十六夜亭
小説村上春樹短編集 『一人称単数』村上春樹 村上春樹の『一人称単数』です。 6年ぶりの短編集だそうです。 個人的には「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」と「品川猿」という作品あたりが好きかな。 以下、収められている作品の感想を簡単に…。 石のまくらに 作中でその昔、主人公と寝たという若い女性の短歌がいくつか紹介されている。 決してうまいと... 2020年9月7日 十六夜亭
ミステリー傑作ドン・ウィンズロウ 『ザ・ボーダー』ドン・ウィンズウロウ ドン・ウィンズウロウの『ザ・ボーダー』です。 翻訳は田口俊樹。 なんか、もう「スゴイ」としかいいようがない。 クライムノベルの枠を超えた壮大な人間ドラマに仕上がっている。 読み終えて、やはり、ドン・ウィンズウロウは現在のミステリーの最高峰だと再認識。 『犬の力』、『ザ・カルテル』の続編 本書は主人公である麻薬捜査官のア... 2020年8月9日 十六夜亭
小説 『淳子のてっぺん』唯川恵 唯川恵の『淳子のてっぺん』です。 女性で世界で初めてエベレストの登頂に成功した登山家、田部井淳子をモデルにした小説。 田部井淳子はテレビやラジオなどメディアにも時々、登場していたので、その優しそうな笑顔や声は記憶にある。 このオバちゃんが女性として世界で初めてエベレストに登ったのかというぼんやりとしたイメージはあった。... 2020年7月11日 十六夜亭
歴史・時代小説 『親鸞』五木寛之 五木寛之の『親鸞』です。 著者のエッセーや小説は自分が高校生の頃、随分、読み漁りました。 当時は、ちょっとした五木寛之ブームみたいなものもあったと思います。 映画にもなった『戒厳令の夜』は、今、思い返しても傑作でした。 著者の作品を最後に読んだのは、いつ頃だったろう。 そのぐらい久しぶりに読む、五木寛之作品。 親鸞は鎌... 2020年6月10日 十六夜亭