橘玲の『永遠の旅行者』である。 初めて読む作家であり、あまり期待せずに読み始めたが思わぬ拾い物をしたという感がある。 ストーリーは緻密で複雑。 計算された隙のない内容で、とてもよくできている。 金融や税金の知識を駆使した金融情報小説といっていいと思うが、一言で金融情報小説とくくれない部分も多く人間ドラマとしてもよく描け...
小説の記事一覧
山田宗樹の『聖者は海に還る』です。 ミステリー小説だと思って読み始めましたが、これは恋愛小説ですね。 悲しい物語ですが、最後の1行に救われます。 このあたり、ややあざとさを感じないわけでもありませんが…。 とある中高一貫の進学校に赴任してきた臨床心理士。 彼にカウンセリングを受けるとクライアントたちの症状は劇的に改善す...
隆慶一郎の『一夢庵風流記』です。 『花の慶次』という少年ジャンプに掲載された漫画の原作になった小説です。 漫画の主人公は『北斗の拳』のケンシロウのような顔をした人物でした。 この漫画のおかげで主人公の前田慶次郎は一躍有名になりました。 当時、この漫画は読んでいませんが漫画の存在自体は知っております。 物語は戦国時代末期...
フランク・シェッツィングの『深海のイール(Yrr)』です。 この強力な帯のパワーに負けて、三冊イッキ買いしてしまいました。 地球を襲うカタストロフィーてんこもりです。 前半から中盤にかけての壮大なスケ...
川上弘美の『古道具 中野商店』です。 実をいえば…。 というほどのことも、ないのですが川上弘美の小説やエッセーのまったりした癒される感じが好きです。 作品によっては、まったく、まったり感のない湿度の高い小説もありますが…。 で、本作ですが古道具屋が舞台の恋愛小説です。 古道具屋というシチュエーションに村松友視の『時代屋...
ジェフリー・ディーヴァーの『ウォッチメイカー』です。 2008年度の『このミステリーがすごい』の海外部門で第1位になった作品です。 主人公のリンカーン・ライムは脊髄損傷のため両手両足が麻痺しているとい...
司馬遼太郎の『世に棲む日日』である。吉田松陰と高杉晋作の生き方にを描いた物語である。司馬遼太郎のエッセイを読んでかねてから心に残る言葉があった。「吉田松陰の母親のお滝は自分の孫に『松蔭叔父のようにおなり』と...
上橋菜穂子の『精霊の守り人』です。 本屋さんのポップにあった「ダ・ヴィンチ文庫ランキング1位決定!」「本の雑誌が選ぶ2007年文庫ベスト1決定!」という惹句と著者の文化人類学者というプロフィールにそそられ買ってみました。 面白いです! 一気、読みです! 内容は、いわゆるファンタジーです。 ファンタジーというとホビットや...
すべてを語ることのない静かな詩のような小説です。 翻訳された小説のような文体。 ちょっと奇抜で誇張された比喩。 主人公は葛藤を抱えた世を拗ねたような少年。 各章の冒頭に序文があって、それがサリンジャー...
宇江佐真理の『卵のふわふわ -八丁堀喰い物草子・江戸前でもなし-』です。タイトルに惹かれて手にとりました。読みきりの短編が集まって一編の長編を成すような小説です。各短編のタイトルをよくみると「秘伝...
森見登美彦の『太陽の塔』です。 パワフルでポップで疾走感のある文体。 文章もユニークだけど、どこか格調の高さを感じさせる。 初めて読む作家ですが、妙にそそられ、クセになりそうでなりそうです。 京都大学...