ドン・ウィンズウロウの『ザ・ボーダー』です。 翻訳は田口俊樹。 なんか、もう「スゴイ」としかいいようがない。 クライムノベルの枠を超えた壮大な人間ドラマに仕上がっている。 読み終えて、やはり、ドン・ウィンズウロウは現在のミステリーの最高峰だと再認識。 『犬の力』、『ザ・カルテル』の続編 本書は主人公である麻薬捜査官のア...
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唯川恵の『淳子のてっぺん』です。 女性で世界で初めてエベレストの登頂に成功した登山家、田部井淳子をモデルにした小説。 田部井淳子はテレビやラジオなどメディアにも時々、登場していたので、その優しそうな笑顔や声は記憶にある。 このオバちゃんが女性として世界で初めてエベレストに登ったのかというぼんやりとしたイメージはあった。...
奥田英朗の『オリンピックの身代金』です。 2009年の第43回吉川英治文学賞を受賞した社会派ミステリー。 2段組みで500ページを超えるという大作。 本作の前に読み終えたのが、奥田英朗の『罪の轍』。 『罪の轍』を読み終えて、これは傑作だと感激してるうちに、以前購入した『オリンピックの身代金』がどっかに積読になってるはず...
村上春樹の『猫を棄てる 父親について語るとき』です。 文藝春秋の2019年6月号に掲載されたエッセイを本にまとめたもの。 文藝春秋に掲載された当時、図書館でチラ読みしましたが、改めて読んでみました。 これ自体、挿絵のページが多かったりする100ページほどの小さなもので、さっくりと読めてしまいます。 内容は著者の生い立ち...
山本周五郎の『樅ノ木(もみのき)は残った』です。 この年齢になるまで、本作を読んでいなかったというのは不覚でした。 こんな、すごい小説を見逃していたのかと…。 微に入り細を穿つような人物模写。 一編の小説ではあるが、伊達藩の殿様、藩士から浪人、山中に住む猟師、そして、様々な階層の女たちが登場して一つのストーリーを軸とし...
劉慈欣(りゅう・じきん/リウ・ツーシン)の『三体』です。 翻訳は大森望、光吉さくら、ワン チャイ。 そして、監修が立原透耶。 翻訳者3人、ほかに監修がいるってすごいね! 今年の夏ぐらいから話題になっていて、こりゃあ、読んでみた方がイイかなと思って手に取ってみたわけです。 作者の劉慈欣は1963年生まれの中国のSF作家。...
吉田修一の『続 横道世之介』です。 “続”というからには、当然、前作がある。 前作を読んだのはもう、10年近くも前。 その時の印象は「いい小説だったなぁ」と、未だ鮮烈なものとして自分の記憶には残っている。 2001年に山手線の新大久保駅でホームから落ちた男性を助けようとして日本人カメラマンと韓国人留学生の三人が亡くなる...