逢坂冬馬の『同志少女よ、敵を撃て』です。 ロシアのウクライナ侵攻のせいで、図らずも、なんともタイムリーな作品となってしまいましたが、評判の高さにつられて読んでみました。 まず、日本人作家が日本人が一人も登場しない第二次世界大戦の独ソ戦をテーマに取り上げたというのは驚きです。 深緑野分という作家の『戦場のコックたち』を読...
本屋大賞の記事一覧
ディーリア・オーエンズの『ザリガニの鳴くところ』です。 翻訳は友廣純。 読み始めは、鬱々とした暗い話かなと感じた。 主人公の少女、カイアの境遇がどうにも救われない。 この調子で、ずっと続いたら、たまらんなと思いながら読み進めるとボーイフレンドのテイトが登場したあたりから、感じがかわってきた。 視界が開けてきたとでもいう...
上橋菜穂子の『鹿の王』である。 読みごたえもあるし、面白かった。 読んで、間違いのない作家たちがいる。 いってみれば「読めば、必ず面白い」ことが分かっている作家たちである。 自分にとっては上橋菜穂子は間違いなく「読めば、必ず面白い」作家たちの一人である。 彼女の作品はややもすると児童向けの作品だと思われ、敬遠してしまう...
宮下奈都の『羊と鋼の森』である。 なるほど、タイトルの『羊と鋼の森』とは、ずばりピアノのことだったのですね。 ピアノという楽器は、本書でも説明されている通り、鍵盤を押すとボディーの中に張られた鋼鉄製の弦(ピアノ線)をハンマーが叩いて音を出すという構造になっている。 つまりは羊はハンマーに張られたフェルト。 鋼は、ハンマ...
恩田陸の『蜜蜂と遠雷』である。 結構なヴォリュームの作品だがぐいぐいと一気に読んでしまった。 こんなに、作品に引き込まれて読んでしまったのは久しぶりである。 場面への導き方が抜群に上手い。 こんなに上手いと著者自身の手のひらで踊らされている感がして自己嫌悪に陥る、そこがいやになる。 物語は吉ケ江国際ピアノコンクールとい...
とりあえず、言い訳 著者のツイッター等での発言が度々、物議をかもしたり炎上したりしていることは知っているし、彼の思想や発言自体、賛成できない部分は多々ある。 そういう意味では新年の一冊目に読む本が百田...
第11回本屋大賞、第35回吉川英治文学新人賞受賞作。 上下巻、各々500ページ近いなかなかのヴォリューム。 おかげで、お盆休みのかなりの時間をつぎ込んでしまった。 東北の内陸に住んでいると、なかなか身...
ピエール・ルメートルの『その女アレックス』である。「週刊文春2014年ミステリーベスト10」1位、「ミステリが読みたい!」「IN POCKET文庫翻訳ミステリー」でも1位に...
三浦しをんの『舟を編む』です。 2012年の第9回「本屋大賞」受賞作。 相変わらずうまいなぁと感心する。 以前、『風が強く吹いている』という大学生の箱根駅伝をテーマにした作品を読んだ時も思ったことだが心の機微というか、泣かせどころを知っている。 この作者、普段光の当たらないような職業や人々にスポットを当てて物語を作るの...