黒川博行『国境』
黒川博行『国境』
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黒川博行の『国境』である。
久しぶりに読む黒川作品。
とにかく厚い本でウィークデイは読む気になれなかった。

本作は主人公の建設コンサルタントを営んでいる二宮と、彼から「疫病神」と呼ばれる暴力団幹部、桑原が登場する「疫病神」シリーズ第二弾。
だいぶ前に、直木賞を受賞した『破門』という「疫病神」シリーズ5作目にあたる作品を読んだが、これが面白くすっかりはまってしまい、以来、黒川博行の作品はチェックするようになった。
ネットの評価などを読むと、この『国境』はシリーズの最高傑作という評判が多い。
そんな訳で、どんなにか面白いだろうと手に取ってみた。

結論から言うなら、自分としては『破門』と『国境』を比べるなら『破門』のほうに軍配を上げたい。
『破門』が発行されたのが2014年、そして本作『国境』が発行されたのは2001年と13年もの開きがある。
そのことを踏まえると当たり前の話かもしれないが『破門』のほうが作品として、より熟成された感がある。
何より『破門』のほうが二宮と桑原の関係が濃密になっているし、会話のテンポもよい。
ただし、物語としてのスケールの大きさは『国境』が勝る。
なにせ、二宮と桑原達は日本を飛び出し北朝鮮まで詐欺師を追いかけ、落とし前をつけに行くのだ。
しかも、中国から北朝鮮へ密入国し、戻るときには北朝鮮軍から銃撃を受けるという状況も発生する。
デズモンド・バグリィやフレデリック・フォーサイスのスパイものならまだしも、およそ日本の民間人が主人公のミステリーでは考えられない展開だ。

前述したとおり本作は10年以上も前の作品である。
そのため北朝鮮の状況も現在とはずいぶん異なる。
日本人でも特定のルートを使えば観光でも普通に? 北朝鮮に行くことができた時代だし、何より金正恩はまだ登場せず、その父親の金正日の時代だった。
作者が実際に取材したのか、書籍で想像を膨らませたのかは不明だが、北朝鮮の内情がリアリティをもって描かれている。

読んだのは講談社文庫の分厚い一冊だが、これは現在、絶版になっており本書は文春文庫の上下巻になっているもので読むことができる。

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