内田樹の『最終講義-生き延びるための六講』です。
著者が教鞭をとった、神戸女学院大学での最後の講義を含む、六つの講演をまとめたもの。
講演ゆえにか「そこまで言って、いいんかい?」といった内容もなかにあるが、主張自体は押し付けがましいものではない。
教育に関する考え方や、生きる(学ぶ)ためには何が大切かといった彼の考えは、とても示唆に富んでいるし多くのヒントを与えてくれる。
とはいえ、本当にそうだろうか? とか違う考え方はないだろうか? といった視点は大切にしたい。
他の著作を含め彼の本を読むと本質的には分析力の人のような気がする。
本人の弁にもあったが、著者は難しい話や観念的な事象を通俗的な話に落とし込んで再構成するのがうまい。
なんか、もやもやしていることを「ああ、それそれ」といった感じでインタープリットしてくれるのだ。
だから、多くの人に理解されやすいし、注目を浴びる一つの要因になっているのだろう。
自分にとっては頭の深い部分にあることを、改めて掘り起こしてくれるような、そうした思想家だ。
そして、こういう分析力や気付きを「自家薬籠中の物」としたいものだ。
図書館で借りた本だが、もう一度、読んでみたいと思わせる。
特に教育に関する講演は、改めて教えられるようなことが多い。
いくつかの異なるテーマについて語っているので、一言でまとめるのはできないが、小学生や幼い子供のいる親にはぜひ読んで欲しい。