『残穢』小野不由美
小野不由美『残穢』
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小野不由美の『残穢』である。
「残穢」は「ざんえ」と読む。
残った穢(けが)れということですね。

第二十六回山本周五郎賞受賞作。
ノンフィクションのようなフィクションのようなマジックリアリズム的な不思議な小説。
そんな訳で小説としてもホラーとしても、ちょっと異色。

発端は主人公の知り合いのライターからもたらされた、怪異な現象だった。
そのことを解明していこうとする主人公達は北九州最強と言われる怪談にまつわる呪われた一族へとたどり着く。
北九州最強ですよ!
最強?!

前半はやや冗長な感じもしたが、東雅夫、平山夢明、福澤徹三といった実在の作家や実際にあった事件(全部が全部ではないと思うが)と絡めての物語は後半凄みを帯びてくる。
怖いか、怖くないかと問われれば、まぎれもなく怖い。
しかし、多くの怪談がそうであるように、因果(亡くなった人の恨みや、その亡くなり方など)と、その報い(怪奇現象)のあいだに明確な裏付けや合理的な理由まではもたらされない。
そのあたりは、ノンフィクション的な描き方をしてるゆえに、一層、もやっとした読後感が残る。
ちなみに表紙の絵は司修。

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