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いちばん大事なこと ―養老教授の環境論 (集英社新書)

養老孟司の『いちばん大事なこと ― 養老教授の環境論』である。
『バカの壁』がベストセラーになった養老先生の環境論。
養老孟司はそもそも解剖学が専門。
その彼が、なぜ環境論なのだろう。
養老先生の趣味は昆虫採集。
昆虫採集をしていると自然や環境のことが肌身で感じられ憂慮せざるをえず、言わずにはいられなくなったということらしい。

環境に関する問題を様々な観点からわかりやすく、平易な言葉でていねいに書いている。
中でも、生物多様性について書かれたところは非常に感銘を受けた。
自然は巨大なシステムである。
巨大なシステムは本来、それを壊そうとしても壊れない安定したものだ。
しかし、システムにも弱点がある。
システムの思いがけない点をつかれたときに、一気に崩壊することもありえる。
だから、システムの構成要素(種の一つひとつ)をいたずらに減らすことは慎むべきなのである。
このように生物多様性の重要性を養老は説明する。

きっと、これは企業やコミュニティー、国家などの共同体についても同様のことが言えるのだろう。
時代はグローバル化と言われて久しいが、すべての人間が、同じ精神で、同じ文化と同じ文明を求めようとすれば、それはとても、もろい世界を築くことに他ならない。
とするならば、そこには精神や文化、文明の多様性を尊重する意識が不可欠である。

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