佐藤多佳子の『しゃべれどもしゃべれども』です。
久しぶりに「いー本」に出会った感じです。
軽ーい文章がスゥーッと頭に入ってきます。
若い落語家が主人公で、その日常と彼の周辺の人々との交わりを描いたものです。
主人公の今昔亭三つ葉は二十六歳。
真打を目指す修行中の二ツ目だ。
ひょんなことから、しゃべることが苦手な男女、四人に落語を教えることになる。
この四人が、ちょっとだけ生き方をこじらせた曲者ばかり。
三つ葉の従兄弟でどもりに悩むイケメンのテニススクールコーチ、綾丸良。
無愛想で、ついカドのある言葉を発してしまうクールビューティーの十河五月。
口は達者だが関西弁のためクラスでいじめにあう小学生の村林優。
普段は毒舌なのに野球解説がからっきしダメな元プロ野球選手の湯河原太一。
落語を習う四人と主人公の三つ葉が、互いに影響しながら成長していく。
結構、泣かせるところもあります。
恋もしたくなります。
元気も出ます。
落語も聞きたくなります。
よい小説ってこういうのを言うんだろうなと思います。
誰にでもおススメできる一冊です。