海堂尊の『ナイチンゲールの沈黙』である。 前作の『チームバチスタの栄光』はとっても面白かった。 展開もスピーディーだしストーリーにも無理がなく、最後まで一気に読んだ覚えがある。 映画やドラマになってヒットしたのも、さもありなんという感じである。 という訳で、前作と同じようなものを期待して読んだのだが、どうもノリきれなか...
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浦沢直樹の『MONSTER』です。 「第46回 小学館漫画賞青年一般部門」と「第3回 手塚治虫文化賞マンガ大賞」を受賞した作品。 マンガが好きのお客様のところで『20世紀少年』が話題になり、拍子に「ちゃんとモンスターは読んだことがないんですよ」といったら、全巻、貸してくれました。 ありがたいことです。 18巻と長いので...
正統派の古書店の香りがする 以前からずっと気になっていた香澄堂書店という古書店に入ってみた。 ちょうど、霞城公園の東大手門から伸びている道路を7・80メートルほど東へ上った信号のところにある古本屋さんである。レトロっぽい麗雅宋のような書体で描かれた「香澄堂書店」の看板が印象的。...
和田竜の『のぼうの城』である。 帯の「今年のナンバー1」というコピーにそそられて読んでみたが、もうひとつ作品に奥行きが感じられない。 面白くないこともないが、小説的には、もう一つこなれていない感じ。 ただ戦国時代、地方の小さな城を舞台にこうしたドラマチックな戦いが実際にあったことを知る勉強になったのはよかった。 物語は...
トム・ロブ・スミスの『チャイルド44』である。 本の帯には「このミステリーがすごい!」2009年版海外編第1位。 2008年度CWAスティール・ダガー受賞、ブッカー賞ノミネートとある。 これは、是非とも読まねばなるまい。 この小説は1978年から1990年にかけてロシアで実際にあったチカチーロ事件という52人を殺害した...
森見登美彦の『有頂天家族』です。 レトロでポップでリズミカル、そしてユーモアたっぷりなんだけど妙に格調の高さを感じさせる文体。 それに花を添えるのが大正ロマンを髣髴とさせる電気ブランや赤玉ポートワインといった小道具。 彼の小説には裸電球がよく似合う。 舞台となる京都の街ですら薄暗い闇の中で裸電球に照らされているよう。 ...
篠田節子の『Xωρα(ホーラ) -死都-』です。 この作家は好きな作家の一人で結構、読んでいます。 自分の中での著者のイメージは「手堅くて、はずれが少ない」という感じでしょうか? しかしながら、この作品に関してはもう一つ乗り切れませんでした。 二日酔いの頭で読んだせいかも…。 この小説のコピーにゴシック・ホラーとありま...
石黒耀の『昼は雲の柱』という長編小説です。 先日、読んだ『死都日本』が、すごくイイ出来だったので、その勢いを借りて今月は石黒耀の小説ばかり読んでいます。 中身は火山によるカタストロフィーシミュレーショ...
佐々木譲の『うたう警官』です。 以前、読んだ同じ作家の『警察庁から来た男』の出来がよかったので、その勢いで読んでみた。 この小説を読むと昔、報道された北海道で実際にあった事件(稲葉事件)が思い出される...