黒川博行『果鋭』
黒川博行『果鋭』
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黒川博行の『果鋭かえい)』である。
元大阪府警のマル暴、堀やんと誠やんのコンビが活躍する『悪果』、『繚乱』に続く第三作。
リーダビリティの高い文章とスピード感のある展開で半日で読了。
著者の作品は数冊読んでいるが、やはり、今回も舞台は関西で、登場する人物たちも悪い奴らばかり。
ピカレスク小説といってもよいのかもしれない。
登場人物の描き方や事件の手がかりを一つひとつ、追っていくという展開は、ある意味、ワンパターンかもしれないが安定した面白さ。
安心して読める。

主人公の掘やんこと堀内信也、40歳は大阪府警の暴力団担当時代のトラブルで左足が不自由となり、依願退職。
杖を使わないと歩くのにも不自由というカラダで安普請のアパートで一人、燻るような生活を送っている。
ある時、堀内は大阪府警時代に相棒を組んだ伊達から仕事を手伝って欲しいと相談を受ける。
伊達は脅迫事件が発覚し大阪府警を免職になり競売屋の調査員をやっている。

伊達からの相談は、パチンコ屋のオーナが半グレに恐喝されてトラブルになっているので、収めるのを手伝ってほしいというものだった。
二人がトラブルを調べてみると、そこにはパチンコの業界団体、暴力団や元エリート警官の強欲な輩が絡んだ、大きな事件が浮きがってくる。
その事件を餌に、大金をせしめようとする主人公たち…。

著者の小説は、業界の暗部をリアリティをもって描いたものが多い。
今回はパチンコ業界とヤクザと警察だが、他の作品では美術品業界や学校法人、仏教業界など「噂では聞くけど、実際はどうなの」といった、一般人の興味をそそるようなところを、うまく突いている。
そのためか、社会勉強のつもりで読んでも面白い。

ちなみにというか、だからどうなのという話ではあるがプロローグを読んだところで、著者の小説には「飯でも食お」といって、鰻屋に行くパターンが多いことに気づく。

ところで、この本ですが出版元である幻冬舎の方から、謹呈していただいたものである。
週末によく行く、なじみのバーのカウンターで飲んでいたら、後から入ってきて傍に腰を下ろしたのが幻冬舎で編集をやっているという方だった。
その方と、ミステリや本の話で盛り上がった。
その時に話題になったのが黒川博行である。
別れ際に「今度、黒川さんの本を送ります」といわれ、名刺を交換したのだが、そのときは酒席でよくある社交辞令ぐらいに思っていた。
翌週、会社に幻冬舎からが本書が届いたときには本当に驚いたと同時に、そのフットワークのよさに感心した。
Nさん、このたびは、ありがとうございました。

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