角幡唯介『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』
角幡唯介『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』
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角幡唯介の『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』である。
チベットの奥地にある人跡未踏のツアンポー渓谷。
その世界最大といわれる渓谷への単独行による探検旅行記。
著者は早稲田大学の探検部出身。
それにしても、ここの出身者はノンフィクションライターになったり作家になったりと多くの有名人を輩出してるが、「早稲田大学の探検部に入ったからには、世間をアッと言わせるような冒険をしなければ」といった意識が強すぎるのではないだろうか?

この探検記を読むと、すごいとはおもうが、そこに100パーセントの敬意があるかといえばそうでもない。
なんか、もう紙一重である。
なにが紙一重かといえば生きて帰ってきたことが。
軽挙妄動とは言わないが、これを読むと生きて戻れたのが僥倖としかおもえない。
生前、植村直己は「必ず生きて帰ることが本当の冒険だ」と言っていた(残念ながら本人はマッキンリーで行方不明となってしまった)そうだが、生きて帰るのがラッキーみたいな行動はまったく褒められない。
冒険という行為によって目標を達成するのではなく、冒険という行為自体が目的化してしまった感じがする。

エピローグで彼の考える冒険というものを論じているが、ぬるま湯につかった日常に首まで浸かった身には十分理解するには難しい。
元新聞記者だけあって登山家が書く記録より文章も構成、論理もプロっぽい。
カヌーイストの死を描いた一章は泣けた。

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