石黒耀『昼は雲の柱』
石黒耀『昼は雲の柱』
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石黒耀の『昼は雲の柱』という長編小説です。
先日、読んだ『死都日本』が、すごくイイ出来だったので、その勢いを借りて今月は石黒耀の小説ばかり読んでいます。

中身は火山によるカタストロフィーシミュレーションといってもよい物語。
『死都日本』は九州南部の加久藤火山だったが今回の災いは富士山噴火です。
むかし1年ほど富士山の近くに住んだことがあるため、当時の富士山や御殿場の風景を思い浮かべながら読みました。

富士山が噴火するまでの過程とその被害をシュミレートしながら御殿場に住む火山学者と彼の友人であり静岡県のドンといわれる実業家の活躍で御殿場市民の命が助かるという物語です。
一方では彼らの娘と息子が富士山の噴火のさなか除福伝説(秦の始皇帝に命ぜられた不老不死の仙薬を探すため、除福という人物が大勢の若い男女を率いて船で東方へ向かい戻らなかったという伝説)と日本書紀、古事記や聖書との関連性を論じながら火山神伝説の真相に迫っていくということがサイドストーリー的に展開していきます。

小説の中で登場人物に記紀神話と除福伝説との関連や世界の火山神話、聖書など日本書紀との類似性が語られていますが、こうした部分は前作の『震災列島』でも思ったのですが少しばかり冗長な感じがしました。
こうした、伝奇的なものを描きたいのならば、火山や地震を脇役にした伝奇小説を別に一冊描いたほうがよいのではないでしょうか?

※2006年11月に刊行された『昼は雲の柱』は『富士覚醒』というタイトルに改題され加筆修正が行われ文庫化されています。

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