『一夢庵風流記』隆慶一郎
『一夢庵風流記』隆慶一郎
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隆慶一郎の『一夢庵風流記』です。
『花の慶次』という少年ジャンプに掲載された漫画の原作になった小説です。
漫画の主人公は『北斗の拳』のケンシロウのような顔をした人物でした。
この漫画のおかげで主人公の前田慶次郎は一躍有名になりました。
当時、この漫画は読んでいませんが漫画の存在自体は知っております。

物語は戦国時代末期、天下の傾奇者(かぶきもの)といわれた前田慶次郎利益(とします)の活躍を描いたものです。
「傾奇者」を大字林で調べてみると「人目につくような変わった身なりや行動をする。」とあります。
しかし、本来は粋を競うということがレゾンデートル(この単語、久しぶりに使った)になっている方々ことをいうのでしょう。

ストーリーには朝鮮出兵の斥候として朝鮮に渡ったなど作者の創作と思える部分が多く、やや、押し付けがましい感じがしないわけでもありません。
そうした部分においてはファンタジー的な要素も感じられ、実在の人物は登場しますが歴史小説というよりは時代小説といった趣です。
3人の朝鮮人の下男がいたのは記録にあるようですが、慶次郎が朝鮮に渡ったという記録はないようです。
主人公の描き方も、男気があり武芸にひいで男にも女にもモテるといった、著者自身の美意識が反映したキャラクターで、人間としてのリアルさが感じられません。
このあたり、作者の押しの強い小説で読者の好みの分かれるところではないでしょうか?
まぁ、でも、面白いことは間違いありません。

隆慶一郎の描く時代劇を読むといつも思うのですが、中世の風俗なども丹念に描かれており歴史学者の網野善彦の世界観などがよく表れていて興味深く読むことができます。
『吉原御免状』や『かくれさと苦界行』は、そのあたりの代表作に思えます。

前田慶次郎については決して多くの資料があるわけではないのですが、山形県米沢市の市立図書館には前田慶次郎が京都から米沢に入るまでの道中を描いた「前田慶次道中日記」が残されています。
ちなみに来年のNHKの大河ドラマは上杉藩の直江兼次が主人公ということで交流があった前田慶次郎が注目されるのも必至と思われます。

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