今日のニュースで村上春樹がノーベル文学賞の候補になっていることを知った。
『ノルウェイの森』がベストセラーになって以降、恥ずかしくて大っぴらには云えないのだが、かくいう私も村上春樹の愛読者の一人です。
ただし、小説とエッセイに限っての話ですが…。
オウム事件を扱った一連のノンフィクションは、どうしても触手が伸びず、いまだ積ん読の状態です。
最初に村上春樹を読んだのは大学1年のときで、忘れもしない『羊をめぐる冒険』という作品でした。
確か東海地方の某市にあった今は亡き「ヤオハン」というスーパーの4階だったか3階だったかの書店で買った記憶があります。
本が読むのが好きだったこともあって小説は様々読んでいましたが、この一冊を手にして読み進めていったときの昂揚した気持ちは、これまで読んだ小説の感動を大きく超えるものでした。
日本の小説に必ずといっていいほど存在する、まとわりつく湿度がまったく感じられない文体は衝撃的ですらありました。
主人公たちのライフスタイルのかっこよさは、マガジンハウスの「ポパイ」などを読んでいた少年だった私のストライクゾーンにすっぽりとハマった感じがします。
大いに感動した私は、すぐさま『1973年のピンボール』、『風の歌を聴け』と出版された本を遡って一気に読み漁りました。
そして数年後、個人的には未だに彼の最高傑作だと思う『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』が上梓され、この作品を読んだときにはページをめくる度に、近づいてくるエピローグを恨めしく思い、この小説が永遠に続いてほしいと願ったものです。
それでも、いつの頃からか、昔ほど彼の書いた作品があまり心に響いてこなくなってしまいました。
彼の作品が変わったのか、自分が変わったのか。
まぁ、それでも彼の作品は新刊が出るのが待ち遠しいのですが…。