池上永一『レキオス』
池上永一『レキオス』
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池上永一の『レキオス』(文芸春秋)を読む。
沖縄出身の小説家だけあって沖縄の空気やにおいをリアルに感じさせる作品である。
伝奇小説、あるいはSF小説としての素材がよいだけに一寸残念な展開のさせ方である。
序盤はハードSFかなどと思わせながら、中盤以降は漫画になってしまった。
もっと人物を丁寧に描けばいいのに、そしてその力量もあるのにもったいない。

物語の舞台は西暦2000年の沖縄。
米軍から返還された天久開放地の荒野に巨大な魔法陣が出現する。
この魔方陣は「レキオス」という地霊を呼び覚ますために米軍が築いたものだった。
主人公のデニスはアメレジアン(在日米軍の米兵と地元女性との間に生まれた)といわれる、黒人の父と、沖縄人・白人のハーフである母との間に産まれた女子高生。
米軍は目覚めたレキオスを制御できず、デニスは日系三世のヤマグチ少尉とともに立ち向かう。

考えてみれば沖縄というのは文化人類学的にはとても面白い場所なんだよなぁ…。
ちなみにレキオスとはポルトガル語で琉球人という意味らしい。
トメ・ピレスというポルトガル人が1500年代前半に書いた「東方諸国記」に琉球人のことをレキオ人として書いている。
沖縄出身の作家だからこそ描けた小説である。

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