原尞『愚か者死すべし』
原尞『愚か者死すべし』
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正月、早々『愚か者死すべし』である。
歯の浮くようなキザなセリフ。
あくまでも、原尞という作者流の男の美学に彩られた作品である。

セリフやプロット、女性を含めた脇役にいたる全ての登場人物の行動パターンまで、すべてがハードボイルドだ。
これは必ずしも褒め言葉とはいい難い。
いい方を変えれば各々の人物、一人ひとりが描ききれていない。
世の中、そんなハードボイルドな人物ばかりが登場していたら一歩間違えばコメディだ。
それでも、そのすれすれのところで描いているので救われる。

一作目の『そして夜は甦る』と二作目で直木賞を受賞した『私が殺した少女』を読んだときはとても新鮮だった。
本人も自認しているように、やっと日本にもチャンドラーばり? のハードボイルドを描ける人が登場したかという想いをもったものだ。
しかし、この作品の前作『さらば長き眠り』を読んだときは「もっと、うまい作家なのに…」と残念な印象をもった。
そんな訳で前作は、途中で投げ出してしまった。

前作よりは、今回の作品の方がよいような気がする。
読んでみれば普段、あまり使わない漢字も結構出てくるので勉強にもなる。
どうせならストーリーは思いっきりシンプルにしてハードボイルドなセリフや雰囲気、人物模写だけ読ませるようなものを期待したい。
まあ、作者の経歴を見るとジャズピアニストを経てミステリー作家というのは、ハードボイルドを地でいってる感じである。

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