柚月裕子『孤狼の血』
柚月裕子『孤狼の血』
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柚月裕子の『孤狼の血』である。
昨年の第69回日本推理作家協会賞受賞作。
読み始めて最初の印象は、こなれていないという感じだろうか?
文章に「遊び」がない。
カッチリしているといってもいい。
ちょっと、窮屈だなと思いながら読み始めた。

本作の直前に読んだのが黒川博行の『英落』というのも、そう、感じさせる原因になったかもしれない。
黒川博行は関西ノワールを書かせたら手だれの作家である。
熟達の文章は小気味よくすっと入ってきて、ときに余裕さえ感じさせる。
『英落』も本作同様、警察を舞台にした小説で、アウトサイダー警官? が登場するという点でもかぶっていた。
そんな訳で、本作にはやや分が悪かったかなと思いながら読み進めたが、どうしてどうして、中盤までくるとストーリーの組み立てはこちらのほうが一枚上手かなと思った。

舞台は昭和63年の広島。
呉原東署という架空の警察署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上の下で暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件の捜査を担当することになった。
違法ともいえる強引な捜査手法で実績をあげる大上のやり方に戸惑いながら、日岡はヤクザの世界を知るようになる。
やがて、捜査中の失踪事件をきっかけに暴力団同士の抗争が勃発。
ここからは目も離せない展開となり終盤はアッと驚くような結末が待っている。

作者の柚月裕子は山形県在住で、書評家の池上冬樹が世話人を務める「小説家になろう講座」の受講者。
最近、この講座の受講者はずいぶん活躍しておりますなぁ…。
東北の女性が、こういういう広島弁バリバリの男の世界を描いた作品のせいか、ややぎこちない印象を受けた部分もあった。
しかし、それでも、まあ、面白い小説だった!
彼女のほかの作品も読んでみよう。

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