高野和明『ジェノサイド』
高野和明『ジェノサイド』
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高野和明の『ジェノサイド』である。
なかなか文庫化もされず、ずっと図書館で探していたので県立図書館でたまたま見つけたときはラッキーと思った。

2012年本屋大賞2位。
第2回山田風太郎賞、第65回日本推理作家協会賞受賞作。
という訳で期待通り、面白い。
物語は壮大で哲学的な感じもある。
それなりにリアリティーが感じられるし、最後まで破綻せずに読ませる。

主人公は化学を専攻する大学院生、古賀研人。
彼は急逝した父親の遺志をついで難病の治療薬を創ろうとする。
父親から託された創薬ソフト「GIFT」は、その難病のための薬の製造を可能にした。
一方、その難病に侵された息子を持つ傭兵のイエーガーは未知のウィルスに感染したとされる現地民掃討作戦のため、コンゴのジャングル地帯に赴くが、彼がそこでみたものはウィルスに感染したとされる現地民などではなかった。
まったく、違う場所で繋がるはずのなかった二人の運命が一つにつながっていく。
その裏にあったものは…。
といった、ところが大まかなあらすじ。

しかし、全体に細部があまい印象も受ける。
例えば、マイケル・クラントンやフランク・シェッツィングといった海外のこうしたものを描く作家達に比べるとやや稚拙な感じがある。
主人公の一人に日本の大学院生を据えたあたりが、もう一つ、バランスを崩している気がする。
このあたり、人生経験の豊富な中年男性あたりを登場させたほうが物語が締まったのではないだろうか?

それでも、アフリカのコンゴでホモ・サピエンスが進化して次代の人類が現れるというアイディアは面白い。
SFの傑作、A.C.クラークの『幼年期の終わり』を思い出した。
登場人物にストーリーと関係のないような作者のやや政治的ともいえる意見を言わせているようなところは少々、気になる。

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