左は『洋酒天国』の第10号、右は映画『月山』のパンフレット
左は『洋酒天国』の第10号、右は映画『月山』のパンフレット
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左は『洋酒天国』の第10号、右は映画『月山』のパンフレット。
いずれも山形市にある香澄堂書店という古書店で購入。
洋酒天国はセロハンの袋に入っていて価格は500円。
床に置かれた段ボール箱に無造作に置かれていた。
B5版、60ページ弱の薄い冊子だ。

自宅に帰り、袋を開け奥付を見ると発行は昭和三十二年一月二十五日とある。
編集兼発行人という名前には、後に芥川賞作家になる開高健。
後年、直木賞を受賞した山口瞳が壽屋と名称していたころのサントリーに入社したのは昭和33年だから、まだ、彼が編集にかかわっていない頃のものである。
中のイラストを見る限りアンクルトリスをデザインした柳原良平はもう、参加しているようだ。
この冊子は壽屋がトリスバーなどで宣伝のために発行していたものだった。

目次をみるとミステリー特集号とありエドガー・アラン・ポーなどの外国のミステリーの翻訳短編が三篇。
安西郷子という若い女優のレオタード姿を撮ったグラビアページもある。
基本、男性誌というのは大体いつの時代も変わらないものだ。
他には『マダム』という婦人雑誌などを発行していた鎌倉書房の創業者、長谷川映太郎や大下宇陀児というミステリー作家のエッセイなどがある。
興味深いのは第二次世界大戦前にバロン薩摩とフランス社交界で呼ばれた薩摩治郎八もエッセーを書いている。
治郎八は当時、フランスに渡航した藤田嗣治などの日本人画家のパトロンとなったほか、美術、音楽や演劇といった芸術文化に多額の金を投じた。
他にも超高級車を乗り回したり、パリの社交界では財力に物をいわせたプレーボーイぶりでフランス滞在の10年間で現在の金額に換算しておよそ600億円ほども散財したという。

『月山』のパンフレットは帰る間際、入り口のドアのところで目に入った。
100円という値段だけ見て、勢いで買ってしまった。
映画の原作は今年、生誕100年の森敦。
ここ数年、芥川賞を取った作品は数えるほどしか読んでいないが、原作になった『月山』を超えるような作品には、なかなか出会ったためしがない。
高校生のころに読んでから30年ほどにもなるが、自分の中では未だ強い光彩を放っている。
原作を読んだのも映画を見たのも昔の記憶でしかないが「映画は原作を超えられなかったかな」と思ったことだけを憶えている。

※香澄堂書店のホームページ

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