『深海のイール』フランク・シェッツィング
フランク・シェッツィング『深海のイール』
スポンサーリンク

フランク・シェッツィング『深海のイール』

フランク・シェッツィングの『深海のイール(Yrr)』です。
翻訳は北川和代。
この強力な帯のパワーに負けて、三冊イッキ買いしてしまいました。

地球を襲うカタストロフィーてんこもりです。
前半から中盤にかけての壮大なスケールに「こんなに大きな風呂敷を広げて、どうやってたたんでいくつもりなのだろう」と思いましたが中盤からYrr(イール)が登場する展開に「なるほど、こうきたか」という感じです。
上中下巻で1600ページを超えるだけあって、人物の造形、科学的なディテール、自然の営み、国家のありかたが丁寧に描かれています。

作者のフランク・シェッツィングはドイツ人。
この緻密さと哲学っぽい内容は、いかにも理屈っぽいドイツ人という感じがします。
登場人物の思考を描いている箇所には形而上学的な部分も多いですが、こうしたところは作者自身の意見を投影させている部分も大きいのでしょう。
マイケル・クライトン、ジェームズ・ラブロックのガイア理論、ライアル・ワトソン、幼年期の終わり、日本沈没、アビス、惑星ソラリス、デイ・アフター・トゥモロー、全地球史解読、…。
これらは読み進むうちに、ふと、頭に浮かんだキーワードですが、これらの一端がすべて網羅されています。
帯にあるように映画化が決定したようですが、後半のスピード感のあるアクションシーンはハリウッド映画にぴったりです。
多少、難しいことも書いてありますが自然科学が好きな人のみならず、エンターテイメントとしても十二分に楽しめる作品です
とにかく、このページ数になると読みきることにもエネルギーを使います。

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事