森 博嗣の『スカイ・クロラ』です。
すべてを語ることのない静かな詩のような小説です。
翻訳された小説のような文体。
ちょっと奇抜で誇張された比喩。
主人公は葛藤を抱えた世を拗ねたような少年。
各章の冒頭に序文があって、それがサリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』からなんですね。
必然的に『ライ麦畑でつかまえて』を思い出します。
『ライ麦畑でつかまえて』へのオマージュといっていいかもしれません。
主人公の職業は戦闘会社のパイロット。
しかも遺伝子制御剤という薬品によって生まれた「キルドレ」と呼ばれる年をとらない人間。
アニメのガンダムのことはよく知りませんが、この小説の主人公は、きっとガンダムに登場する主人公のような少年なのではないでしょうか?
宮崎駿のアニメでやってもおかしくないような小説です。
宮崎駿も飛行機好きなようですし…。
装丁もきれい。