『卵のふわふわ』宇江佐真理
宇江佐真理『卵のふわふふわ -八丁堀喰い物草子・江戸前でもなし-』
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宇江佐真理の『卵のふわふわ -八丁堀喰い物草子・江戸前でもなし-』です。
タイトルに惹かれて手にとりました。
読みきりの短編が集まって一編の長編を成すような小説です。
各短編のタイトルをよくみると「秘伝 黄身返し卵」とか「美艶 淡雪豆腐」なんていうタイトルがついていて、どことなく藤沢周平の「秘剣」シリーズのタイトルを彷彿とさせます。
各編とも、卵百珍や豆腐百珍などに登場するような珍しかったり、小粋な食べ物が小道具として登場します。

主人公は八丁堀の同心に嫁いだ若奥さんです。
ちょっとした家庭内DVがあったり、奥さんが実家へ帰ったりと、この夫婦、うまくいってないんですねぇ。
この若奥さんが嫁いだ家のグルメの舅とべらんめいの姑がいい味を出しています。
だいたいにしてタイトルの食べ物にはこのグルメの舅がからんでいます。
ちなみに「卵のふわふわ」というのは料理の名前のことです。
ぐつぐつと煮立った醤油と鰹だしベースの澄まし汁に砂糖を少々入れてかき混ぜた卵を落とし、すぐ火を止め蓋をします。
一つ、二つと十まで数えて蓋を取ると、こんもりと卵が盛り上がったような感じになったらできあがり。
シンプルだけど、ちょっと、そそられます。
小説としては、さほど期待していなかったのですが、心温まるよい小説でした。
離婚を考えている夫婦には、一読をオススメします。

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