原田マハの『楽園のカンヴァス』です。 第25回山本周五郎賞受賞作。 大人のファンタジーであり、よい恋愛小説だなぁと。 恋愛小説と言うには、恋愛の要素が少ないような気がするが、でもやっぱり、恋愛小説なのだと思う。 実在する倉敷にある大原美術館やMOMA(ニューヨーク近代美術館)が登場したり、舞台がスイスのバーゼルに移った...
小説の記事一覧
笹本稜平の『春を背負って』である。 高校生の頃は、新田次郎の『孤高の人』、『栄光の岩壁』、『銀嶺の人』といった山岳小説を読みふけった。 その影響で、短い間だったが「山と渓谷」や「岳人」なんていう登山の...
デイヴィッド・ダフィの『KGBから来た男』である。 タイトルからするとスパイアクションモノを想像するが、チャンドラーの系譜に連なるような、かなりちゃんとしたハードボイルドだった。 ミステリーでロシアが登場するとなれば、当然、vsアメリカ(西側)というエスピオナージの構図が定番だったが、本作はニューヨーク在住のKGBでス...
若杉冽の『原発ホワイトアウト』である。 現役の官僚が書いたことで話題の小説。 登場する一部の人物には実在のモデルがいると言われ、発売当初、霞ヶ関では、そのリアルさから作者がだれか犯人探しが始まったとか…。 おそらく著者がこの小説を通じてアピールしたいのは、電力会社が日本という国のシステムに、どのように関与しコントロール...
三浦しをんの『舟を編む』です。 2012年の第9回「本屋大賞」受賞作。 相変わらずうまいなぁと感心する。 以前、『風が強く吹いている』という大学生の箱根駅伝をテーマにした作品を読んだ時も思ったことだが心の機微というか、泣かせどころを知っている。 この作者、普段光の当たらないような職業や人々にスポットを当てて物語を作るの...
横山秀夫『64(ロクヨン)』である。『このミステリーがすごい! 2013年国内編 1位』、『2013年 週刊文春ミステリーベスト10 1位』、『2013年本屋大賞 2位』という屈指のミステリー。昨今のライトノベルまがいの...
ジェフリー・ディーヴァーの『007 白紙委任状』である。著者はリンカーン・ライムシリーズで有名な、あのジェフリー・ディーヴァー。 緻密なミステリーを書くアメリカのベストセラー作家だ。 本来、007シリーズは...
江國香織の『抱擁、あるいはライスには塩を』である。 結構、厚い本で読み始めるまでちょっとした覚悟が必要だった。 著者の書いたものを読むのは初めてだったが想像したとおり女性らしい小説を書く人だった。 女...