十六夜亭
いずれの記事も、きわめて個人的かつ主観的な内容です。
軽慮浅謀、無知蒙昧、優柔不断、短慮軽率、独断専行、妄評多罪のこと、お許しください。
まぁ、ゆるーく読んでいただければありがたいです。
ハイ。
十六夜亭の記事一覧
藤沢周平の傑作、『用心棒日月抄』である。 お盆の休日、本当は違う小説を読んでいたのだが、目に留まった本書をパラパラ捲っていたらやめられなくなってしまった。 数年ぶりではあるが、これで、三度目の再読である。 案の定、こうなることは分かっていた。 自分にとっては池波正太郎の『剣客商売』に並ぶかっぱえびせん本である。 主人公...
ディーリア・オーエンズの『ザリガニの鳴くところ』です。 翻訳は友廣純。 読み始めは、鬱々とした暗い話かなと感じた。 主人公の少女、カイアの境遇がどうにも救われない。 この調子で、ずっと続いたら、たまらんなと思いながら読み進めるとボーイフレンドのテイトが登場したあたりから、感じがかわってきた。 視界が開けてきたとでもいう...
筒井康隆の『旅のラゴス』です。 「本読みが選ぶ…」といったような、どこかの書評サイトで評価が高かったので手に取ってみました。 読み終えて「いい小説だなぁ」と思った一方で、なんか、つかみどころがないなぁと。 何ともいえない浮遊感のある不思議な小説です。 展開は、まるでロールプレイングゲームのよう。 だけど、ラストまで読め...
ドン・ウィンズロウの『ダ・フォース』である。 翻訳は、『ザ・ボーダー』と同じ田口俊樹。 ウィンズロウには『犬の力』、『ザ・カルテル』、『ザ・ボーダー』という壮大な三部作の傑作があるが、本作もそれに負けず劣らぬ傑作である。 本作で描かれているのはニューヨークという街であり、ニューヨーク市警の警官の生活であり、一人の刑事の...
浅田次郎の『終わらざる夏』です。 いやー、読ませます。 さすが、浅田次郎といった感じ。 舞台となったのはエトロフのさらに北、千島列島の最北端にある占守島(しゅむしゅとう)。 本作を読んで初めて、その存在を知りました。 先の敗戦までは、こんな北の果てまで日本の領土だったのですねぇー。 昭和20年6月、大本営の編制科動員班...
ジョン・グリシャムの『テスタメント』です。 翻訳は安定の白石朗。 ミステリー好きには「いまさらグリシャムですか」という感じですが、ずっと積読になっていたものを、たまたま手に取ってパラパラめくっていたら止められなくなってしましました。 ジョン・グリシャムといえば、リーガルスリラーの大家。 1990年代には『評決の時』や『...
城山三郎の『雄気堂々』です。 今年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公、渋沢栄一を描いた歴史小説。 令和6年に発行予定の新一万円札の肖像にも選ばれた実業家です。 渋沢栄一の名前を初めて知ったのは、三十年ぐらい前に読んだ荒俣宏の『帝都物語』だったと思います。 確か関東大震災後の帝都、東京を設計し復興させた人物として登...
斎藤幸平の『人新世(ひとしんせい)の「資本論」』です。 2021年の新書大賞を受賞した話題の本です。 そんなわけで、手に取ってみました。 久しぶりに読む経済関連の本ですが、いまさらマルクスに類した本を読むとは思いもよりませんでした。 情報量が多く、一気読みという訳にはいきませんでしたが、決して難しいことが書かれているわ...
馳星周(はせ せいしゅう)の『ゴールデン街コーリング』です。 作者の自伝的といってもいい、ちょっと緩めの青春小説。 まぁ、個性的な人達や街に揉まれて逞しくなっていく主人公の数年間を描いたほろ苦い物語といったところでしょうか。 サイドストーリーを盛り込みすぎて本筋の印象が薄くなってしまったのが残念。 いったい、どのぐらい...
恒川光太郎(つねかわこうたろう)の『金色機械』です。 初めて読む作家の小説です。 図書館で『金色機械』という、摩訶不思議なタイトルが目にとまり、パラパラめくってみたら時代小説のような内容だったので、“機械と時代小説”というギャップにひかれ借りてみました。 アイディアが秀逸で、なかなか、面白かったです。 時間軸が過去へさ...
ブレイディみかこの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』です。 話題になっていたことは知っていましたが、いまさらながらという感じで読んでみました。 基本、英国での生活や日常が女性の視点と親しみやすい筆致で描かれ読みやすかったです。 夫を配偶者と書き、自分をかあちゃんと書き、自分の父をじいちゃんと書く。 このあた...
だいぶ昔に読んだ作品だが、飯嶋和一の『黄金旅風』である。 図書館で借りて読んだ本を、改めて購入した本というのは、それほど多くないのだが本作は「この本はちゃんと買って、持っていた方がいいな」と思い、改めて本屋さんで購入した。 そのぐらい、本作を読み終えたときは「いい小説だな」と思った。 以来、信者とまではいかないが飯島和...