ドン・ウインズロウの『サトリ』である。現在、ミステリー界では高い人気、実力を持つ。以前、読んだ『犬の力』は傑作だったが、それとはだいぶ雰囲気が異なる。これには理由があって『サトリ』は他人の作家が書いた...
十六夜亭
いずれの記事も、きわめて個人的かつ主観的な内容です。
軽慮浅謀、無知蒙昧、優柔不断、短慮軽率、独断専行、妄評多罪のこと、お許しください。
まぁ、ゆるーく読んでいただければありがたいです。
ハイ。
十六夜亭の記事一覧
ずいぶん昔に買ってそのまま、積読になっていた。風呂に入って読むのに手ごろなものが見当たらなかったので、たまたま視界に入った文庫本を「薄いし短編だし、いいかな」と思い風呂場に持ち込む。この文庫本には「パ...
モリミーといわれる森見登美彦の『ペンギン・ハイウェイ』です。2010年の「日本SF大賞」受賞作。とはいえ、本作をSFといってしまうのはどうなのか、ちょと迷うところ。どちらかといえば、ファンタジーではないのか...
シャンタラム - 人生を変える一冊に値する グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツの『シャンタラム』である。 翻訳は田口俊樹。 今年、読んだベストワンかもしれない。 いやいや、今年読んだどころか、これまでの人生の中で読んだ本のなかでも屈指の傑作である。 まったく、たいした小説があったものである。 少々、お金はかかるが、一読...
角幡唯介の『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』である。 チベットの奥地にある人跡未踏のツアンポー渓谷。 その世界最大といわれる渓谷への単独行による探検旅行記。 著者は早稲田大学の探検部出身。 それにしても、ここの出身者はノンフィクションライターになったり作家になったりと多くの有名人を輩出してるが...
三浦しをんの『まほろ駅前多田便利軒』である。 本作は第135回直木賞を受賞。 一言でいうならオフビートな男二人の友情物語である。 舞台はまほろ市という東京の町田市をモデルにした街。 駅前で便利屋を営む多田とそこに居候を決め込む高校時代の同級生、行天(珍しい苗字)。 便利屋に舞い込む様々な依頼から物語は展開。 狙っている...
最近、いいなと思う作家の一人が中島京子です。 日常の何気ないことを、過不足のない文章でさらりと描いているのですが職人的なうまさを感じます。 物語の舞台は戦前から戦後にかけての東京の山の手にあるお洒落な...
ドン・ウィンズロウの『犬の力』である。 2010年の『このミステリーがすごい!』海外編の1位となった骨太のミステリー。 「ミステリーの賞もとってるし、一応、読んどいたほうがイイかな」という軽い気分で手に取っ...
マーティン・ブースの『暗闇の蝶』です。 一風変わった大人のミステリー。 翻訳は松本剛史。 舞台はイタリア中部の小さな田舎町。 主人公は表向きは蝶を描くために引っ越してきた画家。 しかし、本職は裏社会から高い技術で信頼を得ている職人。 彼は住処を転々としながらプロフェッショナルの暗殺者からの依頼を受け、用途に合った銃や弾...
NHK「東海村臨界事故」取材班による『朽ちていった命―被曝治療83日間の記録』である。 1999年9月30日、茨城県東海村の核燃料加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所」で臨界事故が発生した。 事故が起きたのは核燃料サイクル開発機構の高速実験炉「常陽」で使うウラン燃料の加工作業中だった。 3人の作業員はステン...
藤谷治の『船に乗れ!』です。 全3巻と結構なボリュームですが、引き込まれるように読み終えてしまった。 そして「クラシックをやる高校生というのはなかなか小生意気な生き物なのですなぁ」と、その昔、凡庸な高校時代を送ったオジサンは思うのでした…。 天真爛漫な青春小説と思ったけど、1、2巻を読み終え、まさか、こんなへヴィーな展...
この春に出来たばかりの鶴岡市立藤沢周平記念館に行ってみる。 開館したというニュースを聞いたときから「行かなくちゃ」と思っていた。 場所は鶴岡市のほぼ中心部、彼が描く小説に登場する海坂藩のモデルとなった庄内藩のお城の跡地、鶴岡公園にある。 建物の設計は鶴岡の隣町の酒田市にある東北公益文科大学大学院教授の高谷時彦。 訪ねた...