『パリの国連で夢を食う。』川内有緒
『パリの国連で夢を食う。』川内有緒
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川内有緒という30代、女性フリーライターの手による『パリの国連で夢を食う。』というエッセーである。
これが面白かった。

著者は日大芸術学部出身でアメリカのジョージタウン大学に留学、その後、アメリカのコンサルティング会社や日本のシンクタンクを経て、パリの国連で勤務するという豪華絢爛な経歴の持ち主。
日大芸術学部出身というのが、イマイチよくわからないが…
経歴だけみると、いかにも意識高い系のエネルギッシュでスクエアで堅苦しい孤高の人物を思い浮かべるが、そうではない。
まぁ、エネルギッシュというところは当たっていると思うがこの本を読むと、どこか、我々、一般庶民と変わらない親しみやすさや垣根の低さを感じさせる。

描かれていのは、国連に応募した動機に始まり、パリでの暮らしぶりや働く国連の職場事情から国連を辞めるまでの彼女自身の想いや生活のことである。
中でも国連というブラックボックスの中身が、多少、見えたのは興味深い。
とは言え国連はこうあるべきだとか、世界はこうでなくてはいけないといった主張はさほどない。

父上が亡くなったことや恋愛し結婚したことなど、深刻な話も書かれているが、全体に横溢しているのは、のんびりした感じというか泰然とした気分である。
このあたり、いかにも日芸出身というニュアンスがよくでている。
ゆったりとした自然体でわかりやすい文章がよい。

しかし、こういうのを読むと人生を謳歌しているというか天真爛漫というか「もう、かなわないなぁ」と感じ入る。

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