池上司『ミッドウェイの刺客』
池上司『ミッドウェイの刺客』
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池上司の『ミッドウェイの刺客』である。
著者、お得意の潜水艦モノです。
今、潜水艦を舞台にした小説を描かせたら福井敏晴と池上司が双璧ではないでしょうか?

舞台は太平洋戦争さなかの昭和17年6月5日から7日にかけて行われたミッドウェイ沖で行われたミッドウェイ海戦。
アメリカ海軍は航空母艦一隻に対して、日本海軍は主力航空母艦四隻とその全艦載機を喪失するという状況に至った。
このときに米軍の航空母艦一隻を撃沈し一矢報いたのがこの小説の主人公、田辺彌八艦長が率いる潜水艦「伊-168」である。

この小説は事実を基に描かれたものだが、ミッドウェイ海戦にこうしたドラマがあったことを初めて知った。
読んでみれば、この小説の構成は戦争小説や戦争映画の王道をいくものだ。
新任の艦長は部下の信頼を得られていないが、過酷な訓練を積むことで信頼を得ていく。
艦長は上層部からは理不尽な命令を受け過酷な状況の中で最善を尽くそうとする。
結果、敵の攻撃を受け艦を危険にさらすような状況になるが冷静沈着な判断と行動で危機を回避する。

ピンチを脱した後に訪れるのは大きな戦果をあげるチャンスであり、部下たちと一丸になって大きな勝利を得る。
生死のかかった過酷な状況の中で冷静な判断を果敢に下す艦長の姿はステレオタイプではあるが、そこは水戸黄門が印籠を出すシーンと同じで戦争モノの醍醐味であることには違いない。
読みやすい文章とテンポのよさでイッキに読み終えることができた。
面白かった。

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